研究活動

『子育てと介護のダブルケア:事例からひもとく連携・支援の実際』が刊行されました。

2023年2月22日

渡邉浩文、森安みか、室津 瞳、植木美子、野嶋成美編著

『子育てと介護のダブルケア:事例からひもとく連携・支援の実際』が刊行されました。

事例も豊富ですので、ご関心のある方は、ぜひお手に取ってみてください。

目次は以下の通りです。総論を担当させていただきました。

第1章ダブルケアとは(総論)
第2章ダブルケアの実際(26事例)
第3章ダブルケアラー支援に役立つ制度や支援の知識
 第1節 ダブルケアラーの支援で大切なこと
 第2節 介護・認知症ケア
第3章 出産・育児、
第4章 ヤングケアラー
第5章 就労支援
第6章 当事者支援

https://www.chuohoki.jp/item/8826.html

 

『ひとりでやらない 育児介護のダブルケア』(ポプラ社)を刊行いたしました。

2021年4月14日

『ひとりでやらない 育児・介護のダブルケア』(ポプラ社)を刊行いたしました。
https://www.poplar.co.jp/book/search/result/archive/8201200.html

大原社会問題研究所雑誌 736号~737号ダブルケア特集

2020年3月23日

大原社会問題研究所雑誌 736号 2020年2月
【特集】東アジア福祉レジームとダブルケア(1)東アジア比較と計量分析

https://oisr-org.ws.hosei.ac.jp/oz/contents/?id=2-001-0000056

特集にあたって
 相馬直子・山下順子
東アジアにおける社会的リスクとしてのダブルケア
 相馬直子・韓松花・山下順子・Kate Yeong-Tsyr Wang・Raymond K.H. Chan・宋多永
ダブルケア経験者の就業状態および負担感についての分析
 上村一樹・中村亮介

大原社会問題研究所雑誌 737号 2020年3月
【特集】東アジア福祉レジームとダブルケア(2)構造的葛藤と制度的不正義

https://oisr-org.ws.hosei.ac.jp/oz/contents/?id=2-001-0000057
ダブルケアと構造的葛藤
 山下順子・相馬直子
韓国における中高年女性のダブルケア負担と制度的不正義
 宋多永・白暻欣/相馬直子 訳
日本における中高年女性のダブルケアと制度的不正義
 相馬直子・山下順子

神奈川ワーカーズコレクティブ連合会・横浜国大共同ダブルケア実態調査2016

2017年7月24日

神奈川W.Co連合会・横浜国大連携 ダブルケア実態調査2016報告

神奈川ワーカーズ・コレクティブ連合会
横浜国立大学経済学部附属アジア経済社会研究センター

*本内容の転載にあたりましては、「神奈川W.Co連合会・横浜国大連携 ダブルケア実態調査2016」もしくは「神奈川W.Co連合会・横浜国大2016調べ」と付記の上ご使用いただけますようお願い申し上げます。

*なお、本調査研究は第6弾ダブルケア実態調査とも位置付けられます。
 2012年よりダブルケア調査第1弾(横浜市内の子育て支援拠点3カ所で質問紙調査)、第2弾調査(横浜、静岡、京都、香川、福岡で子育てメールマガジン登録者対象に携帯・Web調査)、第3弾調査(横浜、京都の一時保育、学童、子育て支援センターで質問紙調査)、第4弾調査(ダブルケア研究ホームページからのウェブ調査)、第5弾調査(ソニー生命連携調査2015年)、第7弾調査(ソニー生命連携調査2016年)があります。


Ⅰ はじめに
1.「ダブルケア」調査・研究にあたって:社会的背景

現代の日本は地域コミュニティが崩壊し、ご近所同士のつながりが薄れていると言われています。少子化・高齢化・人口減少はものすごいスピードで進行し、私たちの生活に影響をもたらしてきています。とりわけ日本では、少子化と高齢化が同時進行し、女性の晩婚化による出産年齢の高齢化により、子育てと親の介護を同時にしなければならない-「ダブルケア」-の増加も大きな課題となっています。
この「ダブルケア問題」はこれからの日本において避けて通れない問題で、団塊世代の女性たちは親の介護と孫育て、その子である団塊ジュニアは親や祖父母の介護と子育てが同時進行する中心世代とされています。

2.なぜ神奈川W.Co連合会で「ダブルケア調査」を行うのか(神奈川W.Co連合会より)
  今日「ダブルケア」という困難状況に求められる現状の制度・政策は、子ども、高齢、障がいなど対象別に縦割りになっているため、必要なサポートをトータルに提供する体制がないのが実情です。
地域に住み暮らす人たちが主体的に知恵や時間、資金を出し合って地域に必要なものやサービスを非営利市民事業として生み出してきたW.Coは、制度の狭間のニーズを顕在化させ、サービスの提供をしている実態がありますが、連合会全体での把握はしてきていませんでした。
また、W.Co創設から30年以上が経ち、中心世代である50代、60代のメンバーにとっては他人事ではなく、現実に「ダブルケア」を抱えている人も多くいるのではと予測しています。W.Co連合会としては「ダブルケア」の実態を把握するだけではなく、横浜国大との共同で行う研究成果の共有がより拡がることで、「W.Co.の社会化」につながる意義あるものと捉えています。

3.調査の目的
1)神奈川W.Co連合会としての目的

① 「ダブルケア」の実態把握を通して、W.Coが今後めざすべき事業活動の方向性や方針を示し、共有する契機とする。
② ダブルケアラー支援のための有効な手立ての検討や実行につなげる
③ 非営利・協同のネットワークを通して行政施策への参画を強め、制度・政策への発信力を高める。
④ 利用者のニーズにきめ細かく対応できるW.Coの優位性と、W.Coメンバーの実態を調査することで多様なメンバーの働き場としての優位性のアピールとする。

2)横浜国立大学経済学部附属アジア経済社会研究センターとしての学術的な目的
本調査は、日本学術振興会 科学研究費 基盤研究B「ダブルケア責任の世代間ジェンダー比較分析:自治型・包摂型の地域ケアシステム構想」(研究課題16H03326、「ダブルケア科研」と略)の研究助成により実施されました。
 このダブルケア科研のねらいにもとづき、本調査の学術的な目的は、次の二点です。
① 団塊世代・団塊ジュニア世代のダブルケアの実態把握を行い、世代間のダブルケア責任の連鎖の構造と支援課題を解明すること。
② 子育て・介護の縦割り行政を超える、地域ケアシステムの変容をもたらす取組みと変革主体の形成のあり方を検討し、多主体が連携した「自治型・包摂型・多世代型の地域ケアシステム」の構想へとつなげること。

4.本調査における「介護」と「育児」とは
1)「介護」:愚痴を聞くといった精神的なケアや買い物代行、ケアマネジャーとの連絡やサービスの調整など、広い意味で世話をする・援助することを含みます。
2)「育児」:年齢や居住形態に関わらず、ケア(世話・看護・介助)が必要な子どもがいることを意味します。

※広義の「ダブルケア」調査としては、全国初
既存のダブルケア調査は、子育てを中心とした育児と介護の同時進行の状態(狭義のダブルケア)としてきましたが、今回の調査は50代、60代が中心になることから、親だけではなくおじ・おば、自分、配偶者(パートナー)など、親密な関係における複数のケア関係も含めた広義の「ダブルケア」について調査項目を設定しました。

Ⅱ 調査方法
1.調査対象

1)神奈川W.Co連合会に所属するW.Coの全メンバー
2)W.Co連合会在宅福祉協議会に所属するW.Coのサービス利用者および家族

2.調査方法
1)W.Coメンバーおよびご利用者・ご家族記入用の個人調査票は、A3裏表マークシート方式+A4記述用紙
①W.Coメンバーには人数分調査票を配布(人数はW.Co連合会2015実態調査による)
②利用者および家族の調査は、各W.Coから集約した数を調査対象とする。
③調査票による量的調査と、了解いただいた方には質的調査(インタビュー調査)を組み合わせ、多面的に把握する。
2)事業所調査票(A4 1枚):ダブルケア当事者に対する事業所としての支援の状況や、制度・政策への意見

3.調査実施時期 2015年12月15日から2016年2月19日

4.調査票の集約 メンバー及び利用者の調査票は各W.Coで集約し、連合会で取りまとめ。 

5.有効回答数 2,850

6.配布資料 実態調査報告(PDF)

研究活動報告(2013年4月~)

2015年2月25日

◆座談会・検討会
2013年4月16日  ダブルケア分析報告会(第1期)介護と子育ての同時進行から考える新たな社会政策[横浜国立大学みなとみらいキャンパス]
2013年 7月16日  ダブルケア(介護と育児の同時進行)分析検討会[横浜国立大学みなとみらいキャンパス]
2013年10月30日  育児と介護の「ダブルケア」座談会[横浜市西区保健福祉活動拠点フクシア]
2014年 5月15日  てとてとダブルケアカフェ[芹が谷コミュニティてとてと・じゃがてと]
2014年11月4日  ダブルケアワークショップ『ダブルケアってなに?育児と介護に奮闘中のママから聞くダブルケアの実態とこれからの支援政策』[県民活動サポートセンター]
2015年1月20日  ダブルケア(育児と介護の同時進行)シンポジウム[フォーラム南太田]
2015年2月23日  ローカルグッドカフェin さわやか港南(横浜市港南区)~育児と介護 地域でダブルケアを支えるには?港南区の支え合いを考える~ [さわやか港南]

◆学会発表
2013年6月12日~13日  Double burden of Care in Japan, presented at Risk, Life course and Social Exclusion in Asia Conference, City University of Hong Kong,「日本のダブルケア」リスク、ライフコースと社会的排除・アジア会議[City University of Hong Kong, 香港市立大学]

2013年7月11日~12日  Can We Manage?:Double Burden of Care as New Social Risks in Japan, presented at 10th East Asian Social Policy research network sonference, Brijing Normal University, Beijing, China「日本におけるケアの二重負担と社会的リスク」第10回東アジア社会政策ネットワーク国際学会[Beijing Normal University]

2013年7月13日~19日  Double Responsibilities of Care:Emerging new social risks of women providing both elderly care and childcare in Japan, presented at XVⅢ International Sociological Association World Congress of Sociology, Japan.「ケアのダブル責任:日本における子育て介護を同時に提供する女性による夜会的リスクの台頭」、第18回国際社会学学会[パシフィコ横浜]

2014年7月13日~19日  Double Responsibilities of Care in East Asia, presented at XVⅢ international Sociological Association World Congress of Sociology, Japan.「東アジアにおけるケアのダブル責任」第18回国際社会学学会[パシフィコ横浜]

2014年8月31日~9月3日  Double Responsibilities of Care:Emerging new social risks of women providing both elderly care and childcare, presented at 2nd International Conference on Evidence-base Policy in Long-term Care, London School of Economics, UK 「ケアのダブル責任:子育て介護を同時に提供する女性による社会的リスクの台頭」実証介護政策研究国際会議[ロンドン経済大学]

2014年11月6日  東アジアにおける二重のケア責任―新しい社会的リスクの出現-[同志社大学]
2015年1月24日  東アジアにおける二重のケア責任―新しい社会的リスクの出現―동아시아에서 이중 케어의 책임:새로운 사회적 리스크의 대두
静岡大学国際シンポジウム「変容する東アジアの福祉国家―貧困と少子化への対応―」[ホテルセンチュリー静岡]

◆取材協力
NHK首都圏ネットワーク、NHKラジオ、朝日新聞、読売新聞、毎日新聞、共同通信、TBS、医療タイムズ

レポート:ダブルケア意見交換会

2014年11月20日

 2014年11月4日、神奈川県民センター305会議室において、『ダブル・ケアってなに?「育児と介護」奮闘中のママから聞くダブル・ケアの実態とこれからの支援政策』をテーマに、ワークショップを開催しました。
20141104_意見交換会
 未就学児を抱えながら親の介護もしている母親などダブル・ケアに直面している当事者5名のほか、横浜市内の地域ケアプラザ、子育て支援拠点などで介護や子育ての支援に関わるスタッフなど12名が出席し、研究チームの横浜国立大学・相馬直子とブリストル大学・山下順子をあわせた計19名で、今後のダブル・ケア支援について考えました。

 まず、山下より東アジア4か国での調査を報告。台湾・香港に比べ、日本と韓国ではダブル・ケアについての負担感が高いとの調査結果をまとめました。また、国内の調査から、予備軍を含めたダブル・ケア当事者の割合が高いこと、当事者は精神的・体力的な負担感が高いことなどが報告されました。こうした報告を受け、相馬より、社会政策においても介護と子育てをひとつの単位として考える必要性があることなど、意見交換会のテーマを再確認しました。

 出席者の自己紹介後、ダブル・ケア支援の事例を2つ紹介しました。
 1件目の事例は、港南区のコミュニティ「てとてと」でのダブル・ケア・カフェ。てとてと代表者・植木美子さんから、食事を囲みながら、当事者と研究者、区役所、社会福祉協議会の担当者等が語り合うカフェの様子や、カフェを開催したことによる波及効果などが紹介されました
 2件目は、栄区で介護保険事業所を運営している「ワーカーズ・コレクティブたすけあい栄」の事例。たすけあい栄のスタッフ知野朱美さんから、親世代の介護をサポートしながら家族全体の様子を見ることで、介護者である母親や子どものサポートも同時に行っている活動内容が紹介されました。

 その後2つのグループに分かれて活発な意見交換が行われ、当事者や支援者の現状から、①ダブル・ケアをしている介護者を支援するための窓口が明確でない②介護や保育などのボランティアをしている地域の人材が分散しているためネットワークづくりが急務③ネットワークの要となる活動をサポートするためにも経済的な面を含めた支援が必要など、さまざまな問題や課題が浮かび上がりました。
 さらに、こうした課題を解決するための短期的な具体策として、①地域ケアプラザでの座談会開催、②介護に関する情報を子育て支援拠点などでも提供する、といった意見があがりました。

 研究チームでは、今までの研究成果や意見交換会の内容を踏まえ、来年1月20日に全国初のダブルケア・シンポジウムを開催する予定です。ご興味・ご関心のある方は、ぜひご参加ください。チラシが完成次第、ご送付させていただきます。よろしくお願いいたします。