レポート:ダブルケア意見交換会

 2014年11月4日、神奈川県民センター305会議室において、『ダブル・ケアってなに?「育児と介護」奮闘中のママから聞くダブル・ケアの実態とこれからの支援政策』をテーマに、ワークショップを開催しました。
20141104_意見交換会
 未就学児を抱えながら親の介護もしている母親などダブル・ケアに直面している当事者5名のほか、横浜市内の地域ケアプラザ、子育て支援拠点などで介護や子育ての支援に関わるスタッフなど12名が出席し、研究チームの横浜国立大学・相馬直子とブリストル大学・山下順子をあわせた計19名で、今後のダブル・ケア支援について考えました。

 まず、山下より東アジア4か国での調査を報告。台湾・香港に比べ、日本と韓国ではダブル・ケアについての負担感が高いとの調査結果をまとめました。また、国内の調査から、予備軍を含めたダブル・ケア当事者の割合が高いこと、当事者は精神的・体力的な負担感が高いことなどが報告されました。こうした報告を受け、相馬より、社会政策においても介護と子育てをひとつの単位として考える必要性があることなど、意見交換会のテーマを再確認しました。

 出席者の自己紹介後、ダブル・ケア支援の事例を2つ紹介しました。
 1件目の事例は、港南区のコミュニティ「てとてと」でのダブル・ケア・カフェ。てとてと代表者・植木美子さんから、食事を囲みながら、当事者と研究者、区役所、社会福祉協議会の担当者等が語り合うカフェの様子や、カフェを開催したことによる波及効果などが紹介されました
 2件目は、栄区で介護保険事業所を運営している「ワーカーズ・コレクティブたすけあい栄」の事例。たすけあい栄のスタッフ知野朱美さんから、親世代の介護をサポートしながら家族全体の様子を見ることで、介護者である母親や子どものサポートも同時に行っている活動内容が紹介されました。

 その後2つのグループに分かれて活発な意見交換が行われ、当事者や支援者の現状から、①ダブル・ケアをしている介護者を支援するための窓口が明確でない②介護や保育などのボランティアをしている地域の人材が分散しているためネットワークづくりが急務③ネットワークの要となる活動をサポートするためにも経済的な面を含めた支援が必要など、さまざまな問題や課題が浮かび上がりました。
 さらに、こうした課題を解決するための短期的な具体策として、①地域ケアプラザでの座談会開催、②介護に関する情報を子育て支援拠点などでも提供する、といった意見があがりました。

 研究チームでは、今までの研究成果や意見交換会の内容を踏まえ、来年1月20日に全国初のダブルケア・シンポジウムを開催する予定です。ご興味・ご関心のある方は、ぜひご参加ください。チラシが完成次第、ご送付させていただきます。よろしくお願いいたします。